プルルル…

「ん…」

携帯がなっている。

あぁ、私…

家に帰って泣き疲れてそのまま寝てしまったんだ。

ろくに、働かない頭で考え、未だ着信音の止まることのない携帯を手にする。

「もしもし。」

[おっ、由里!ん?元気ないなぁ!]

懐かしい声。

お兄ちゃんだった。

[どうした?男にでもふられたか?はっはっはっ!元気だせ!]

「お兄ちゃん、電話きるから。」

[あ!おい、まてまて!]

「なに?」

[(図星だったのか…)あぁ、成川家でパーティーがあるんけど、由里も連れて行こうと思って。]

「成川家?」

聞いたことあるような…

[ほら、前に話したことあるだろ?日本一の億万長者。成川コスメの。]

成川コスメ…

あ、私が好きな化粧品の会社だ。

最近、めちゃくちゃ売れてる…

「でも、私みたいな貧乏人が…」

私もお兄ちゃんも金持ちなんかじゃない。

お兄ちゃんの奥さんが会社の令嬢で、お兄ちゃんは跡継ぎになった。

そんなお兄ちゃんが行くならまだしも、私が行くなんてもってのほか。

住む世界が違う。

[いいから、いいから!ドレスは今日中に送っとく。明日の夜に迎えに行くから。]

「えっ?!ちょっ!!」

 プツッ…ツーツー…

「ちょっと!!勝手にきんないでよ!!」

こっちは落ち込んでるっていうのに!

でも…

「パーティー…か…」

気晴らしにでもなるだろう。

ポジティブに考え、私は再び眠りについた。