「ねえ、何やってんのかって聞いてんだけど」


口の両端を上げて、低くもう一度問いかける。


それでも口を開こうとしない二人に軽くため息をつくと。

鎌の先を片方の男に向けた。


「ひっ……!!」


なんともまぬけな声をあげながら顔が青ざめていく。

大の男二人が、こんな高校生一人に手も足も出ないなんてな。

思わず笑いが込み上げる。


「はは、あははは」


「な、何がおかしい!!」


「くすくす、別に?」


ようやく笑いが収まったところで向けていた鎌を戻す。

その行動に目を輝かせる男たち。


…ホント、馬鹿だね。


「み、見逃して、くれるのか?」


ほら、また馬鹿なことを言い始めた。

僕は内心呆れつつ、けど微笑みは崩さずに男の頭上を鎌できった。

その瞬間、ヒュッと鎌が風をきる音と。

ドサッと二つの重いものが地面に落ちる音。


「見逃すわけないだろ?バーカ」


地面に倒れこむ二人に小さく呟くと。

こちらを怯えた目で凝視しながら、腰を押さえている最後の一人に近付く。



そして冒頭に戻るわけだ。


「さて、と」


腰に当てていた手を外して、息を吐きながらさっきみたいに鎌を持ち上げると。


「な、何でも言うこと聞く!だから!!やめてくれっ」


まだ意味の分からないことをほざいている。


もう呆れてものが言えない。

どこまで馬鹿なんだろう、この男は。

あからさまに呆れた顔を表に出して一言。


「あんた、さっきらうるさい」


そのまま鎌が頭上の風をきった。

ゆっくりと倒れ込む男。

そして三人から切り離した金色に輝く丸いものをペンダントに回収する。


「はあ…疲れた。こんなやつらの魂なんていらないんだけど」


「ねぇ、あんたもそう思わない?」


全ての魂を回収してから、振り向かずに斜め後ろの草影に話しかける。

正確に言うと、草影に潜む気配に。


「いつまでそこに隠れてるわけ?いいかげん姿現しなよ」