まず、あんりに銃を向けさせておいて、僕が大鎌を振り上げる。

すると彼女の身体が光を放って、僕は思わず腕で目を覆う。


そう、


そこであの時、彼女に重なって

一瞬『由紀』が見えたような気がしたんだ。



真っ白い光の中に、悲しげな表情を浮かべて

……何かを訴えかけているような…。

そんな風に見えた。




由紀………。


一体僕に、何を伝えたかったんだ…?

こんなことはやめろと言いたいのだろうか。



それとも……。





「靖!」


美雪に名前を呼ばれて、はっと我に返る。


「…あ、なに?」


「どうしたの?」


おそらく、僕がまったく反応を示さなかったことを聞いてるんだろう。


美雪に聞いてみるべきか…。

………いや、

聞いたところで見てもいないのに分かるわけない。

それどころか、「もう一回襲ってみる?」なんて言い出しそうだ。


…まぁ、美雪にかぎって実行することはないだろうけど

必ずないとも言いきれない。



とりあえず、今のところは話さない方向でいくか……。


「…ちょっと、考えごとをね」


こう言えば、深くは追究してこないだろう。


「……由紀ちゃんのこと?」


案の定、彼女は眉を下げて悲しそうな表情を浮かべた。


「まぁ、そんなところ」


それに僕も枕に寄っ掛かったまま白い天井を見つめる。


―――退院したら、久しぶりに行ってみるか…。

ずっと行けなかったあの場所へ。



多少の息苦しさを感じながらも、僕はそっと胸元のペンダントを握った。