「南くん」
話しの内容を聞こうと口を開いた僕より先に、彼女が言葉を発した。
どこか詰まったような、緊張が交ざったような声。
「……なに」
冷静に受け答えると、彼女の手がぎゅっと握られる。
そして、挑戦的な笑みを浮かべて腕を組んだ。
「私と、取り引きしない?」
「取り引き……?」
一体何の――…。
「南くん、私の魂が欲しいんでしょう?
……あげてもいいよ」
「…………」
「その代わり…あと1年待って」
「…どうゆう意味?」
彼女は笑みを崩さないまま腕を組み直すと、片足に体重を乗せる。
「どうって……そのままの意味だけど?」
1年待って、か。
それは分かってる。
僕が聞いてるのは。
「理由」
「へ?」
いきなり間の抜けた声を出すと、彼女はきょとんとした顔になった。
何でそうなるんだ。
1年待って、なんて言われたら、理由聞くだろ。
普通。
全く、抜けてるっていうか何ていうか……。
僕は盛大なため息をつくと、未だにきょとん顔の彼女に問いかける。
「だから、理由。
なんで1年待ってほしいわけ?」
「…お兄ちゃんがね、来年試験なの。
私、ずっとお兄ちゃんと二人暮らしだから、せめて合格を祝ってあげたくて……」
「試験って、なんの?」
「司法試験」
「……すごいな」
「お兄ちゃんは頭いいから」
彼女はそう言って苦笑した。
何だか少し寂しそうに見えるのは僕の気のせいか分からないけど。
さっきまでの不敵な笑みと勝ち気な態度は、どこかに消えていた。
「で、どうする?」
少し重苦しい空気を掻き消すように、彼女は言う。
そうだ。
どうするか……。
そもそも僕が彼女を狙うのは、別に魂が欲しいわけじゃなくて。
ただの口封じなんだけど……。
まあ、貰えるもんなら貰っておいて損はない。
それに、能力者の魂は強いから一石二鳥だ。
話しの内容を聞こうと口を開いた僕より先に、彼女が言葉を発した。
どこか詰まったような、緊張が交ざったような声。
「……なに」
冷静に受け答えると、彼女の手がぎゅっと握られる。
そして、挑戦的な笑みを浮かべて腕を組んだ。
「私と、取り引きしない?」
「取り引き……?」
一体何の――…。
「南くん、私の魂が欲しいんでしょう?
……あげてもいいよ」
「…………」
「その代わり…あと1年待って」
「…どうゆう意味?」
彼女は笑みを崩さないまま腕を組み直すと、片足に体重を乗せる。
「どうって……そのままの意味だけど?」
1年待って、か。
それは分かってる。
僕が聞いてるのは。
「理由」
「へ?」
いきなり間の抜けた声を出すと、彼女はきょとんとした顔になった。
何でそうなるんだ。
1年待って、なんて言われたら、理由聞くだろ。
普通。
全く、抜けてるっていうか何ていうか……。
僕は盛大なため息をつくと、未だにきょとん顔の彼女に問いかける。
「だから、理由。
なんで1年待ってほしいわけ?」
「…お兄ちゃんがね、来年試験なの。
私、ずっとお兄ちゃんと二人暮らしだから、せめて合格を祝ってあげたくて……」
「試験って、なんの?」
「司法試験」
「……すごいな」
「お兄ちゃんは頭いいから」
彼女はそう言って苦笑した。
何だか少し寂しそうに見えるのは僕の気のせいか分からないけど。
さっきまでの不敵な笑みと勝ち気な態度は、どこかに消えていた。
「で、どうする?」
少し重苦しい空気を掻き消すように、彼女は言う。
そうだ。
どうするか……。
そもそも僕が彼女を狙うのは、別に魂が欲しいわけじゃなくて。
ただの口封じなんだけど……。
まあ、貰えるもんなら貰っておいて損はない。
それに、能力者の魂は強いから一石二鳥だ。

