覚悟して目を瞑ったのに、いつまで経ってもなんの衝撃もなく。

恐る恐る目を開くと、南くんが銃口を抑えていた。


「待てよあんり。こいつの魂は僕が貰うんだ」


「殺したら魂が回収できないだろ?」


「えー、しょうがないなあ……」


彼女は彼の言葉に少々口を尖らせながらも、渋々銃を下ろした。

それに少しほっとしたのもつかの間。


「銃、下ろさなくていいよ。こいつが逃げられないように向けといて」


「全く、靖ちゃんは人遣い荒いんだから」


再び頭には銃が向けられ、南くんは鎌を振り上げていた。


ああ…もうほんとに絶体絶命……。


今度こそ覚悟を決めて力強く目を瞑る。


「っ……!!」


「えっ……?!」


小さく二人の声が聞こえたと思ったら。

鈍い衝撃と共に、心臓が冷えるような浮遊間。

驚いて目を開けると。


「えっ?!」


自分の体がガードレールを越えていて。

突然視界が真っ白になった。


そこからは分からない。

真っ白な光と二人の驚愕に満ちた顔。

それしか見えなかった。


そして…ふと気がつくと、校門の前に立っていた。

ここはまぎれもなく私の通っている高校で。

教室のほうは少しガヤガヤと騒がしい。

それにほっと胸を撫で下ろして、私は教室に向かった。



でも、一体どうしていきなり学校に戻ってきたんだろう。

それに、南くんとあんりって娘は何をそんなに驚いていたんだろう。

あの白い光は何?


疑問は考え出したらキリがないほど浮かんできて。

考えれば考えるほど分からなくなっていく。


頭をひねりながら歩いていると、いつの間にか、教室の前に立っていて。

私は頭を大きく振ると、勢いよくドアを開けた。