生徒玄関で急いで靴を履きかえ、ダッシュで校門を出ようとした。

校門に誰か立っている。よく見たら和田君だった。

「あれ、和田君。どうしているの?先に行っててって言ったのに。」

「一応こっちから誘ったようなもんだし、おいて行くのは悪いと思った。」

意外な一面を見た気がした。

「ゴメンね。それにしてもなんか意外。和田君女子嫌いだって聞いてたから。何人かに告られてるのに全員断ってるらしいじゃん。」

「別に女子嫌いなわけじゃなくて、うるさいヤツが嫌いなだけ。周りのこと考えないで、自分たちだけが楽しけりゃいいみたいなとこが気にくわない。」

なんだか、噂に左右されてた自分が急に恥ずかしく思えた。

「色々考えてるんだね。なんかゴメン。私、和田君のこと外見だけで判断してた。」

「別にいいですよ。そう思われるような態度とってきたの自分なんで。」

こんな会話をしてるうちに図書館に着いた。

対話の内容は順調に決まり、館内に閉館のアナウンスが流れた。

「5時だ。今日は私のワガママきいてもらっちゃってゴメンね。」

和田君は大きくのびをした。

「いんです。誘ったの俺だし。」

帰り支度をして、外に出た。

「それじゃあ、さようなら。」

「バイバイ」

図書館の前で別れた。

帰り道、図書館に来るまでの緊張が嘘のように感じた。