「彩奈、来たよ。」

「いらっしゃい。上がって。」

「うん。お邪魔します。」

彩奈の目は腫れていて、赤くなっていた。



「彩奈、あのさ。」

「なに?」

「後悔、してない?」

「…して、ないよ。」

「あたし、凌くんのこと、好きだったんだ。」

「え?」

「あたし、凌くんに告白してもいいかな?」

「あ…。」

「彩奈と別れたんだから、いいよね?」

「う、ふぇ、だめぇ…だめだよぉ…凌を…とらないでぇ…!」

「彩奈…それが、本心でしょ?」

「ぐすっ、え?ど、どういうこと?え?葵、凌のこと、「好きじゃないよ。」

「へぇ?!え、でも、さっき!」

「ごめんね。あれ、嘘。」

「なんだぁ〜良かったぁ〜。」

「良かったでしょ?」

「あ……。」

「凌くん、公園で、泣きそうな顔してたよ。」

「凌が……。」

「本当に、別れて良かった?
あたし、凌くんに、彩奈が凌くんに幸せになってほしいから別れるって言ってたよって、言っちゃった。」

「え!なんで、「だって!彩奈、凌くんと別れるって話をするとき、いつも、悲しそうな顔をするんだもん!」

「え?あたしは……凌の幸せを思って……!」

「凌くん、よくあたしに相談してきてたんだよ。」

「え?あたし、それ、知らない…。」

「彩奈には秘密だったからね。」

「あたしの、こと?」

「当たり前じゃん!
凌くんは、彩奈の話しかしないもん!

いつもいつも、彩奈が、彩奈が、って。あたし、彩奈のどこが好きなの?って、聞いたことがあるんだ。」

「え?な、なんて言ったの?!」

「幸せそうに笑ったりするとこ。」

「幸せ、そうに…?」

「うん。あたしから見た彩奈は、楽しそうって、イメージだったんだ。
でも、凌くんは、幸せそうって言ったんだよ。
きっと彩奈は、凌くんと一緒にいるとき、幸せそうに、笑ってたんだよ。」

「本当に、凌が、言ったの?」

「そうだよ。あたしから見ても、分かったよ。
凌くんといるとき、1番幸せそうに笑うんだよ、彩奈は。
凌くんも、同じじゃないかな?」

「え?凌?」

「凌くんが1番幸せなときは、彩奈と一緒にいて、一緒に笑ってるときなんだって。
よくこんな恥ずかしいこと言えるよね。」

「凌も、同じ?」

「うん。彩奈、今、誰に会いたい?」

「…う、凌に、凌に会いたい…!!
でも、あたし、ついさっき、たくさんひどいこと言っちゃった…。」

「大丈夫だよ。彩奈。」

「葵、ありがとう。
彩奈がいてくれて良かった!
あたし、凌にもう一度いってくる!
病気のことも、話すよ!」

「よし!行ってこい!きっとまだ公園にいるよ!」

「うん!ありがとう!」

「じゃあ、あたしは帰るね。」

「うん、ありがとう!」

「ちゃんと言うんだよ?」

「うん!!」