ーガラッ


「あ、先生。」

声はもう出るようになっていた。

「お待たせいたしました。お話をしたいのですが…。移動は出来ませんね…。」

「大丈夫です。みんなにも知ってほしいからこのままお願いします。」


「分かりました。彩菜さん、少し早いですが……もう、入院を考えた方がイイです。腫瘍がかなり大きくなっています。このまま今までの生活を続けていくのは、苦しくなっていきます。」



「いつも通りの生活は出来なくなる…ってことですか…?」


「……はい。このまま今までの生活を続けると「まだ入院したくない。」

あたしは話をさえぎって言った。

「彩菜…。」

「お母さん、お父さん、あたし、まだやることをやり終えてないの。まだやりたいことがたくさんあるの。

先生、あたしは…あたしはまだ、いつも通りの生活を続けたい。
お願いします!

それに、まだ2ヶ月あるでしょう?あたしはまだ大丈夫!最後の1ヶ月の間に何かあったらって言ってたじゃん!あたしは……あたしはっ…!!」

涙が止まらなかった。

「お願いっ…!!」

あたしはまだ…生きる。生きられる。

夢の中のあたしは最後に、こう言った。






『まだあなたは死んでない。

最後まで諦めないで。最後までやり遂げて。』






だからあたしは……諦めない!!