その後は、いつも通り、授業を受けた。


葵は今日、真っ赤な目をして学校に来ていた。

あたしのせいで泣いてるんだと思うと悲しくなる。

悲しませたくなかったのに…。



そうだ!先生に言わなきゃ!

もう葵には昨日のことを話した。

次は先生か…。自分で言うって、結構辛いんだよね…。


あたしは職員室に行った。

職員室…久しぶりかも…。

ーガラッ

「有馬か?どうした?」

ちょうど担任の先生だった。

「先生、話があるんですけど…」

「分かった。ここじゃ、話ずらいか?」

「はい…ちょっと…。」

「分かった。じゃあ、進路指導室に行こう。」

「はい。ありがとうございます。」

あたしは先生と一緒に進路指導室に行った。


「先生、今から言うことは、ウソじゃないです。信じてくださいね?」

「ああ、分かった。」

「あたし、後半年しか生きられないそうです。
脳に腫瘍があって、治らないんです。
でも、ギリギリまで学校に通いたいんです。みんなに迷惑がかかってしまうと思います。
でも、精一杯、楽しく生きて、幸せだったな〜って思えるようにしたいんです。
ただのあたしのワガママなんですけど…。ダメ…ですか?お願いします!」





先生はすごく考えていた。


「そうか。辛かったよな。話してくれてありがとな。この事は先生が校長先生に話しておくよ。
その代わり、精一杯、楽しく生きるんだぞ?」

「はい!ありがとうございます!!」


そう言ったとき、涙が出そうになった。


「あ、先生。あたし、まだみんなに言いたくないんです。
心配かけたくないから…。だから、隠してもらってもイイですか?」

「ああ、分かった。」

「ありがとうございます。」

「それじゃあ、教室に戻りなさい。」

「はい。」


ふぅ…。疲れた…。

落ち着いたときにこらえてた涙がこぼれた。

全然止まらない。

「うっううっやだよぅ〜みんなと一緒に、ずっと一緒にいたかったよ〜!」

1人で泣いた。


はぁ。でも泣いてる暇はない!!

楽しく、後悔しないように生きるって決めたんだもん!

トイレ行って、赤くなった目をバレないようにしてから教室に戻った。



「あれ?彩菜?!」

「あ、葵。何?何でそんなに驚いてるの?」

「あ、ついさっき、凌君が彩菜を探しに行っちゃって…」

「え?見なかったよ?」

「すれ違っちゃったのかな?」

「「アハハ!」」


2人で笑いあってたら、凌が戻ってきた

「あ、凌!」

「彩菜〜お前どこ行ってたんだよー!」

「ご、ごめん…。」


えっと…この状況は…

抱き締められてる…?


「ちょっと〜!あたしの目の前でイチャイチャしないでよー!」

「あ、葵!つか…凌…苦しい…。」

「え?!あ、ごめん…。」

ふふっカワイイな〜。

こんなに大切にされてることが分かっちゃうと…別れにくくなる…。

「大丈夫だよ!一緒に帰ろ?」

「ああ!」

「彩菜ズルイー!」

「今日は3人で帰ろうよ!」

「やったーー!」



あたし達はいつもみたいにくだらない話をして帰った。




ーガチャ

「ただいま〜!」

「おかえりなさい!今日は大丈夫だった?」

「そんなに心配しなくても大丈夫だよ」

「心配するわよ〜!何かあったらすぐに言うんだからね?!」

「分かってるよー!」

部屋に行って、部屋着に着替えてから新しいノートを開いた。

日記を書いていこうと思った。

少しでも、あたしが生きていた証を残したいと思ったから…。


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よし!書けた!

………………………………………………

20**年 7月13日

今日から日記を書く。

これは、あたしが生きていた証拠。

あたしは病気になってしまった。

後半年しか生きられない。

最近まで元気で、楽しくやっていたのに。

突然すぎると思った。

神様は、残酷だなと思った。

あたしはいつか、凌と別れようと思う。

凌にはすぐにいなくなってしまうあたしより、他の人と幸せになってほしい。

凌に病気のことは言ってない。

絶対に、言えない。

悲しませたくないから。

あたしは凌に嫌われるような振り方をしようと思う。最低な振り方をする。

それが1番イイと思ってる。

それが一番、凌が幸せになる方法だと思うから。

………………………………………………



書きながら泣いてしまった。

あたしって、こんなに泣き虫だったんだ