案内された部屋は良くテレビで見るような部屋で、うす暗く、レントゲンの写真があった。
レントゲンに写っていたのは脳だった。
レントゲン…初めて見た。
本当こんなふうにみえるんだ…。
「彩菜さん、ここに座ってください。」
「……はい。」
お母さんに支えられながら、座った。
「率直に言います。彩菜さん、あなたの脳には腫瘍があります。」
……え?どういうこと?
「それは……治るんですか!?」
こんなお母さん、初めて見た…。
自分のことなのに…あたし、のんきなこと考えてるな…。
「いいえ…。腫瘍はまだ小さいですが……位置がやっかいな場所にありまして…手術でその腫瘍を取り出すとなると、逆に危ない状態になってしまう恐れがあります。」
「そんな…………。」
お母さんが泣いてる…。
こんなに泣いてるお母さんも初めて見たな…。
お父さんも必死に涙を堪えてる…。
あたしは自分の脳が写ったレントゲン写真を見ていた。
小さな塊がある。
あれが…腫瘍かな…?
治らないって事は、あたしは死んじゃうの?
手術も出来ないんだよね?
いつも通りの生活には…戻れないの?
あたしは…どうなるの?
「先生……」
「はい。」
「あたしは……」
大丈夫だと…そう言ってほしい。
自分から聞くことじゃないって分かってる。
でも……
「あたしは……あと…どれ位生きられるんですか?」
もう病気だということは分かった。
治らないってことも分かった。
だから…聞いた…。
助からないなら…残りの時間がどれだけあるのか知りたい。
先生はあたしがこの質問をしたときにとても驚いていた。
「彩菜さん…」
先生は苦しそうな顔をした。
「お願いします。はっきり言ってください。覚悟は出来てるんです。」
あたしはなんでこんなに落ち着いてるんだろう。
みんなの前で発表するときは緊張するのに。
不思議…。覚悟だって、出来てないくせに。
「分かりました。彩菜さん、あなたの余命は……………
あと…半年です。」
