耳元で囁かれた声

息が耳にかかって体が震えた

「どんな…ですか」

声を出すのがやっとだった。

「こういうことだ」

その瞬間、唇に温かいものが触れた。

「んんっ!?んーーーーー!」

(ちょ…なにしてんの!?)

精一杯胸を叩いてもビクともしない。

(なんでキスされてんのーーーー!?)

心の中で叫んでもなんにもならないのだが…

いい加減、息が苦しくなってきたところでやっと解放された。

「っは…はあ…はあ…

何…するんですか…!!」

キッと睨みつけてやった。

そんな私には目もくれず

「俺のオモチャになれ」

と言ってペロリと濡れた唇を舐めた。

「っっ!?




はぁぁぁぁーーーーーーーーー!?」


バッとまた口をふさがれる。

今度は手で。

「うるさい。

誰かに見つかったらどうすんの?」

「あっあんたがバカなこというからでしょ!?

なんで私が先生なんかのオモチャにならなきゃならないのよ!

ってゆうかオモチャってなに!!」

「で、どーすんの?


(私の質問スルー!?)


俺のオモチャになる?

それともバラされたい?」

(こんな二者択一いやーーーー!!)

何も言わずに黙っていると

「どーするの?

早く選べよ」

とか言ってため息ついてやがる。

(無駄に様になるところがむかつく!

無駄にかっこいいし!

ほんと無駄!!

バレたら私が困るのわかってて言ってる!

こんのクソ教師が!!)



「わ…わかったわよ。

オモチャでいい」

(もう降参。なりゃいーんでしょ)

「フッ…当たり前だろ。

お前にそれ以外の選択肢はねーよ」

また笑う。

(やっぱわかってて言ったんだー!

底意地の悪いやつ!!)

「じゃあとりあえず明日も放課後ここにこい」

「わかった」

「わかったじゃねーだろ。

はい、だ」

「……はい」

私がそういうと満足したように笑って

準備室を出て行った。

(明日からやだな~…)

「はあ…」

知らず知らずため息が漏れた。



この日が私の波乱の幕開けだった。