ガラッと音を立てて理科準備室のドアを開けた。

「おお、来たか」

「私に何か話ですか?」

「ああ。まあ座れよ。」

「でも委員会が…」

「大丈夫だ。

他の先生に用事があるからと言ってある。」

かなり強引…

「分かりました。じゃあ」

先生の向かいにおいてある椅子に腰かけた。

「はい、おいしいよ」

と言ってなぜかアップルティーを渡された。

「あ、ありがとうございます…」

なんだろ…

話って…

私が一口紅茶を口に運ぶと、

先生は座りなおした。

「お前さ、昨日の夜、繁華街いたろ。」

な…んで…知ってるの…

「いないですよ、そんなとこ。

平日ですし、夜ですし。」

いつもは優しい先生の顔が真剣になる。

「じゃあその筆箱についてるネックレス、

誰に買ってもらったの?」

もう何も言えない。

先生はスマホを取り出した。

「この写真、なーんだ?」

と見せられたのは…

「これ…!」

「そ、昨日お前が抱きしめられてた時の写真。」

コツ…

先生が立って私に近づいてくる。

「まさか優等生のお前が大人とつきあってるなんてなあ。

こんなものもらって

下手したら犯罪だぞ?」

やばい…

バレてる…

それに…

「こんなことバレたらどーなるかなあ…?」

先生がニヤリと笑う。

心臓がうるさい。

端正な顔が近づいてきて…

目を合わせてられなくて

思わず横を向いた。

「っっ!!

バラす…つもりですか。」

「そんな無駄なことしねーよ」

じゃあ何する気なんだろ…

コツ…

先生がまた一歩近づく。

私もそれに比例して一歩下がる。

じりじりと壁に追い詰められる。

バンッ

顔の両脇に先生が腕をついた。

(いわゆる壁ドン…

って ええ!?)

また先生が笑う。

意地悪そうに。

「取引をしようか」