次の日、昨日もらったネックレスを筆箱につけて登校した。

「綾奈ー!そのチェーン?めっちゃかわいいやん!」

由宇は京都から来た子だから、時々関西弁が混じる。

「ありがとう。でもこれね、チェーンじゃなくてネックレスだよ」

「そうなん?どっちにしろめっちゃかわいい!」

「なになにー?なに話してるの?」

高校に入ってできた友達の百合香(ゆりか)。

どっちかというとギャル系。

ちなみに、私が10歳年上とあっていると知っている人はいない。

由宇にさえも教えていない。

「綾奈の筆箱についてるネックレスかわいいって話しててん。」

「あ、ほんとだ!かわいーね!」

俊樹さんが買ってくれたネックレスは思わぬ大好評。

あまりにも二人が可愛いを連呼するので、

ほかのクラスメイトも寄ってきてしまった。

そこで丁度HR開始のチャイムが鳴った。


「おーい。座れよー」

いつも通りの完璧な姿で入ってきたのは皇先生。

別に声を張り上げたわけでもないのに、

たった一言でみんなが席についた。

(やっぱり皇先生の影響力すごいわ~)



「じゃあ、HR終了。今日は1年だけ委員会あるからな。1-1に集合してくれ。

あと、橘。放課後理科準備室に来い。」

(えっ?私?)

という動揺は感情には出さず

「分かりました。」

と返事をした。

先生が出ていくと、由宇がやってきて、

「どしたん?なんかやらかした?」

「なにもしてないよ。委員会についてとかじゃない?」

「そうやんな~。綾奈に限ってなんかあるはずないもん。」

(夜に会ってたのはばれてないはずだし…)


だがこの不安は放課後には実現してしまうのだった。