次の日。
人がまばらにいる教室へ入ると、珍しく僕より早く千晃が登校していた。
「あ、優希。はよーっす!」
今日も一段と元気に挨拶をしてくる千晃に、少し驚きつつも、「おはよう。」と返したあと、
「千晃が早いなんて珍しいね。」
「気分だよ、気分。朝早く起きちゃったし、なんか良いことある予感がしたから。ちなみに7時には学校にいた。」
「いや、早すぎるよ。どう?早く登校して良いことあった?」
僕の質問に、千晃は整った顔の眉間にシワを寄せ、その顔を盛大に歪めた。
「あー…先生に荷物運びをさせられ、追加で理科室掃除を頼まれ、逃亡しようと試みたところ階段から落ちた。」
「ぷっ…!」
あまりにも遠い目で語る千晃から、その時の姿が容易に想像できてしまい、そんな千晃の姿に笑いが込み上げてきた。
「なに笑ってんだチクショウ」
「くっ、ははっ!朝から笑わせること言わないでよ!」
千晃は口を尖らせ、
「弱虫イモムシに笑われる朝からのこの屈辱」
あからさまに不満そうな表情で僕の脇腹を突っついた。
「いてっ、」
「俺をバカにした天罰。」
「やめ…」
千晃の地味な嫌がらせに、やめてよ、と言いかけた時、後ろの扉から彼女は入ってきた。
彼女は自分の席に鞄を置いたあと、僕の前で口を尖らせる千晃に気付き、
「あれ、千晃だーめっずらし!」
と、僕と同じような感想を述べた。
