弱虫男子




「うん…、青い。すごい綺麗。」

僕が素直に褒めると、彼女は嬉しそうに顔を綻ばせた。

「私もこの石がないと不安になるの。こんなにちっちゃいガラスの石なのに、変だよね。」

「変じゃないよ。河本さんは別に変じゃない。僕だって眼鏡を掛けて前髪を伸ばして…周りから逃げてるんだ。怖いから。みんな僕を担ぎ上げようとするから。」

きょとん、と頭に?を浮かべてこちらを見る河本さんが可愛くて、フッと笑みがこぼれた。

「河本さんは素直で良いな。」

感情がすぐ顔に出るのは良いことだと思う。
世間ではそうではないらしいけど、そこには人それぞれの考え方がある。

分からないなら分からないって顔が出来て、嬉しいなら嬉しいって顔が出来る。
嫌なら嫌って顔も出来る。

僕は、それはすごく良いことだと思うから。

「……っ…優希くんは、ズルいよ…。」

河本さんは顔を真っ赤にして僕に言った。

「え…?」

「あー!!もう!!恥ずかしい!!」

「え?え?…え?」

河本さんはボフンッと横に倒れ込んだ。
彼女の横顔が近くに見える。

「なんか…眼鏡ないの慣れないから…眼鏡、ない方がカッコ良いよ…。」

「……あ、りがと…。」

河本さんがあまりにも突然にそんなことを言うから、僕まで真っ赤になってしまった。

しばらく心地の悪い沈黙が続き、なんだか余計に恥ずかしくなった。
その沈黙を先に破ったのは、顔を布団に埋めた河本さんだった。

「………私のこと素直だって言うけど、優希くんも大概だよ。」

「そう、かな…?」

河本さんの少しこもったような声に、僕は上ずりがちの声で答えた。