それがよく分かっている委員長は軽く首を傾げたあと、
「人数が少ないので、あと8人は適当に見繕いたいと思います。野球部、サッカー部、テニス部挙手。」
8人が嫌そうに手を挙げると、委員長は満足そうに笑った。
「はい、この8人が良いと思う人は拍手をお願いします。」
他の人は、もちろん障害物競争などやりたくないから、精一杯の拍手を送る。
しかし、選ばれし8人のうちの1人が不満そうに言った。
「障害物競争なんてめんでー!委員長!勝手に決めんなー!」
「委員長の権限で変更不可能です。」
「独裁政治か!」
「障害物競争が決まったので、次に移りたいと思います。」
「無視すんなー!!」
うちの委員長はちょっとばかし強引な所があります。
得意技は『委員長の権限』です。
はっきり言って、誰も逆らえません。
「借り物競争が良い人を手を挙げて下さい。」
挙がった手の数は、数えなくても10人以上であることは明白だった。
一応、借り物競争に手を挙げた僕は、一瞬手を引っ込めようかとも思ったが、運命走のあの悪夢が頭を占めていた為か、下げるに下げれなくなっていた。
委員長は少し困ったような顔で、
「誰か運命走に移ってくれる人は…まぁ、いませんよね。」
そう、苦笑して見せた。
「じゃあ、委員長の権限で決めます。」
「えーーー!!」
「静かに。五月蝿いと運命走に回しますよ。」
「……。」
委員長の有無を言わせない口調に、みんな一瞬で口をつぐんだ。
『委員長の権限』とは言ったものの、あまり勝手に決めては勝手が過ぎるというものだ。
困った委員長が「どうするべき?」と隣の副委員長に意見を求めると、副委員長は、
「じゃんけんで勝った、運の強い人を運命走にするべきだと思います。」
「あ、それが良い!俺とじゃんけんして勝った人が運命走、負けた人が借り物競争ってことで。不正行為をした場合、問答無用で障害物競争にしますからね。」
委員長の最後の注意に、『委員長の権限』によって選ばれた8人は「仲間になれ。」と言わんばかりに手招きをして見せる。
「さーいしょは――」
委員長の掛け声に慌てて右手を出し、グーを出す。
委員長は見事にパー。
「あいこは3人ですか。勝ちが4人なので丁度良い。あいこも運命走で。はい、決定です。文句は聞きません。」
委員長の半ば強引な決定で、各個人種目は決まり、僕も去年の悪夢を繰り返すことはなかったので良しとしよう。
あとは選抜リレーなど僕とは縁のない話しなので聞いているフリをして、ホッと安堵の溜め息をもらした。
