弱虫男子




もうあんな思いはしたくないから運命走はなるべく避けたい。
でも障害物競争は初っぱなの跳び箱から無理だから、残るは借り物競争だけだ。

運命走も借り物競争も、運が悪ければ僕が死ぬのは確実。

僕は今、どうするべきなんだ?
体育祭なんてなかったことにすれば良いのか?

いや、そもそも。そもそも、だ。
体育祭というものを高校生にもなってやるのは間違ってるんじゃないか?

近隣の高校は球技大会をやっているというのに、我が校は完全に中学校の体育大会と変わりないじゃないか。

球技大会なら卓球とか出来る気がするし、基本走ることがない。
僕は全力で球技大会を推薦したい。

学級リレーなんて、中学生の頃からクラスメートには多大なる迷惑を掛け続けてきた。

高校生になったらそんな罪悪感からも逃れられると思ったのにこれだ。

もう嫌だ…。
体育祭なんてやっても良いことないじゃん。

と、まぁ、僕の心の叫びは誰に届くわけでもなく、委員長は一通りの説明を終え、「では、やりたい競技はありますか。」とクラス全員の顔を見渡しながら言った。

ここの流れはスムーズで、足の速さに自慢のある人や、誰かから推された人が200と800の枠を埋めていく。

「残った人は100メートル走になりますが、残った人はそれで良いですか。」

クラスの気だるげな、「はーい。」という返事を聞いて、

「次に、障害物競争、借り物競争、運命走の中から一人一つ、決めていきたいと思います。障害物競争が良い人は手を挙げて下さい。」

1番疲れる競技なだけあって、手を挙げる人は限りなくゼロに近い2人。
30人クラスだから、10人ずつで分けるのが丁度良い。