「優希くん?」
何も言わない僕を不審に思ったのか、心配そうな顔で彼女は僕の名前を呼んだ。
「今日、…体…祭のしゅ……める、から…」
「え?」
「…っ今日、体育祭の種目決めるから…」
僕の言っている意味がよく分からない、といった様子で彼女は首を傾げたが、すぐに「あぁ!」と声を上げた。
「だから寝坊したんだ?」
優しく訊ねる彼女に、僕が頷くと、
「ふふっ、優希くん体育祭嫌いなのかー」
「…河本さんは、好き?」
「うーん。困ったことに、私もあんまり好きじゃないんだよねー。」
それは意外だ。
河本さんの運動神経がどれほどのものなのかは分からないけど、体育祭とか大きい行事はなんでも好きそうなイメージだったから。
「私、走るのって得意じゃないんだよ。意外でしょ?よくみんなに言われる。何て言うか、みんなの前だと上手く走れないんだよねー…」
「え?河本さんが?」
「河本さんがって何さー私だって人前で何かするのが得意な訳じゃないんだからねー!」
ぷぅ、と頬を膨らませて拗ねたように彼女は言った。
千晃も同じようなことをよくやるけど、彼女がそれをやるのとではココまで威力が違うのか…っ!!
「いや…ちがっ…!そういう意味じゃなくて、その…!」
「冗談だよ」
彼女はクスッと笑ったあとに、「まぁ、人前が苦手なのは本当だけどねー」と、苦笑をもらした。
