深夜0時前。


薄暗く付いていた家の電気が全て消えた。

きっとママとパパが眠りについたのだろう。



それを合図にあたしは部屋の窓を開けて、こっそりベッドの下に忍ばせていた靴を履いて真っ暗な外へ出た。





「翔!」



家を出てすぐの角を曲がると幼なじみの翔が立っていた。

ただでさえ暗い夜道なのに服も黒じゃ見えにくい。




「人のこと急に呼び出しといて待たせてんじゃねーよ」

「ごめんごめん!だって今日知ったんだもん」

「早く行ってさっさと帰んぞ」

「待ってよ〜、翔」




先を歩く翔の背中を小走りで追う。


足の長さが違うんだからもう少しゆっくり歩いて欲しいんだけど!





「…って、痛っ!ちょっと急に止まんないでよ!」

「あ、わり。この道、どっちに行くんだっけ?」

「右だよ?小学生の時ぶりだからって忘れちゃう〜?」

「うっせー」





照れくさそうにあたしの頭を乱暴に小突く翔。