「お母さん、お父さん、リリー?」

アレクシアは家族の名前を呼びながら一歩づつ足を前に進めていく。

もしかしたら私を置いて皆で出掛けているのかもしれない。

そんな楽観的なことを思い、自分で打ち消す。

有り得ない、だって鍵が開いていたもの。

胸を渦巻く不安に答えを出すようなものを見つけてしまった。

いや、見つけてしまったというのは誤りがある。

それは香りだった。