カーテンが閉めきっていない窓から今日を伝える光がさしこむ。
枕元に置いてある目覚まし時計を見た。
06:52
僕は起きた。

僕は胃が小さい。
朝食は食べない。昼食が食べられなくなる。
昼飯は八切りの食パン一枚だけ。夕食が食べられなくなる。
夕食は湯煎していないそうめん一束だけ。
僕の家は貧しい。

何て言うのは嘘。
「僕は胃が小さい。」と言ったところから嘘。
本当にそんな貧しかったら、目覚まし時計など無いだろう。
ましてや、光がさしこむ窓も。
いや、そんな窓がある家など。

何て、どうでもいいことをぼんやり考えていたら目覚まし時計の時刻は07:01になっていた。
ここからは実際の僕の事を話そう。
寺山修司(27)
読み方はてらやましゅうじだ。
大卒で無職のフリーター
賃貸の安いマンションで暮らしている。
ふふ、僕の妄想とさほど変わらないな。

幸せってなんだろう?
結婚すること?
違う。
金を持ってること?
違う。
性交すること?
違う。

否定などいくらでもできる。
だけど『幸せ』の答えはわからない。

今日はいつもよりはやく起きたな。
ふと時計を見る。
07:12
これから朝食を食べて、顔洗って、歯を磨いて、10:00からの仕事へ行くのに09:30に家を出るとして、
まだ二時間十八分もあるじゃないか。
もう一回寝よう………とは思ったが、昨日は20:10ごろに寝てしまったから、すっかり目が覚めているから寝ようにも寝れない。

「暇だ。」

とりあえず、飯でも食うか…。
もう顔とか歯とか、洗うの面倒くさい。
飯くったらどうやって暇を潰そうか…

これは寺山修司(27)の10:00の仕事に行くまでの二時間十八分のお話。