わたしを解放した彼はわたしを抱き寄せるかのように胸板にわたしの耳を近づかせる。 ――ドクドクドク 速い鼓動。わたしより……速い……? 驚きながら不思議そうな顔で彼を見ると、彼は可笑しそうに笑った。 「バーカ。お前全然俺のこと分かってないのな」 「だって……いつも余裕そうだし」 「ポーカーフェイスってよく言うだろ?」 そう言ってわたしは彼に連れられて、電車から降りた。 「あ……そうだ。脱げよ」 「っ!?」