わたしが……中学のとき好きだった人。 驚いて、目を見開いてしまう。 でもその人は眠そうに目をうっすらと開けているだけで、わたしには気づいていないみたいだった。 「どこ見てんの」 低い唸るような声にわたしはビクッと身体を震わせた。 「元カレ?」 「ちっ、違う!! わたし今まで付き合ったことないもん」 怪しそうにわたしを見つめる彼。 ゆっくり電車が止まる。 反対側にまた転びそうになってよろめくと、今度は左の手で支えるように……彼は。 ――…… 「他のやつ見んなよ」