わたしの右耳に響く大きな音。
驚いて身体がビクンと反応する。
手……じゃなくて肘まで壁に押し付けてるから、さっきよりも距離は近い。
彼まであと数センチ。
ニヤッとわたしに笑って彼は上から目線。
「どう?」
少し首を傾げる彼に、ドキドキで頭がボンッって爆発しそうだった。
心臓はもう速すぎる程に高鳴って。
いつも負けてるって思う。
心臓の速さに勝ち負けなんてないだろうけど――わたしは彼みたいに相手をドキドキさせることなんて出来ない。
何となく悔しくて、拗ねたように目をそらして違う方向を向いた。
あ……。

