私はバックを持って、1人、帰り道をノロノロと歩いた。
「ここ」
私の名前を呼ぶ声が後ろから足音と一緒に聞こえる。
「あ、浩輔。」
そこにいたのは、同じクラスで仲の良い男友達の1人の有安 浩輔(ありやす こうすけ)。
爽やか王子って感じの容姿からモテる。
「浩輔もこっち方向なんだ?」
「そうそう。俺の家はここの家からちょっと行ったとこだから結構近いよ」
私は浩輔と肩を並べ、他愛もない話をしながら家へと帰った。
自分の部屋へと駆け込み、ベットにダイブする。
『好き』
この言葉を大和は私にくれた。
でも、それは暇つぶし。
好きな人に遊ばれるって…
こんなにも苦しいことだったんだ。
泣きそうになるけれど、泣いたら負けと自分に言い聞かせ、なんとか耐えようとするけれど…
やっぱり涙は私の頬を濡らしてしまう。

