「課長ぉ、どうしたんですかぁ? キョロキョロして」

 私の動向に気が付いてしまった小島が声をかけてきた。普段はボケーっとしているのに、こんな時に限って鋭いヤツだ。

「う、ううん。ちょっと池田クンに用があったんだけどね」

 上手い言い訳を用意出来ず、ストレートに行動の説明をしてしまった。
 まあ、私は上司なわけで。用事を作ろうと思えばいくらでも作れる。
 そこまで苦しい言い訳というわけでもない。

「池田くんだったら、さっき外回りに行きましたよぉ」

……しまった。もう外回りに出た後だったか。