「い……大樹クン!」

 初めて、素面のままで。
 焦ることもなく大樹クンを名前で呼び掛ける。
 私の声に、夜景を見ていた大樹クンが振り返った――。

「どうしました?」

 大樹クンは穏やかな顔で私を見つめる。
 優しい眼差しで、微笑むような口元で。
 私の言葉を待ってくれている――。

――告白……ちゃんと言わなきゃ!

 しかし、乾いたノドが上手く声を出すことを許してくれない。
 このまま声を出しても、きっと裏返りとんでもない声になってしまうことが自分で分かる。

――でも……でも!!

 格好悪くても良い。見苦しくても良い。
 自分の気持ちを伝えて――『スタートライン』に立ちたいのだ!