携帯を開いて、今日の昼に隠し撮りした大樹クンの写真を眺める。
 帰って来てから二、三回舐め回したせいだろうか、ディスプレイが微妙にテカっているが……。
 こうやって……横顔の写真を見ているだけで、フウっと幸せなため息が出てしまう。
 もう疑う余地は無い――。

 私は……大樹クンに……恋してしまったのだ。
二十八歳にして私に訪れた初恋。
 夜景を眺めながら、お気に入りのイェビスビールを一気に煽る。

「っっかぁっーーー!! 大樹クン!大好きだぁぁぁあああああああっっ!!!」

 勢いに任せて、自分の気持ちを叫んでみる。
 階下から聞こえる、犬の遠吠えだけが……私の絶叫に呼応していた。