28才の初恋

「その……俺は、俺は……」

 顔を俯かせたまま、大樹クンは言葉を選ぶように私からの質問に答えようとしている。

 このまま、話を聞き続ければ……大樹クンの気持ちを聞きだすことが出来る。

 もしも、大樹クンが私のことを好きならば、私はこれから遠慮なく大樹クンに近付けば良い。
 まだ私を好きでないならば、好きになってもらえるように努力すれば良いだけのこと。

でも……。

――それで良いの?

 こんな反則のような手段で、大樹クンの気持ちを確かめて。
 これから大樹クンのことを好きでい続ける資格があるのだろうか?

 今なら、大樹クンがまだハッキリと気持ちを口にしていない今ならば、まだ止めることが間に合う……止めるなら、もう今しかない。

――卑怯者になるのか、止めるのか……?