そういえば、大樹クン以外にもまだ来ていない人間は居る。
 その人間も含めて、引率者として心配しているフリをするのが……この場の答え方としては一番自然だろう。

 そう思い立ち、それを小島に答えることにした。

「ああ、まだ来てない人がいるなって。みんな間に合えば良いけど」

 間に合おうが、間に合うまいが。
 時間になればキチンと集合した人間のためにも、時刻通りの列車に乗って旅行に出発する。
 例え、その遅れる人間が大樹クンであっても……である。

 だからこそ、大樹クンが集合場所に来ないことを心配しているのだが……さすがにそれを他の人間に悟られるワケにはいかない。

 私の返事を聞いて、小島が「そうですねぇ」と軽く相槌を打つ。
 と、同時に思い出したように言葉を付け足した。

――で、その言葉に激しくショックを受けた。