「えーと……そろそろ朝礼を解散しないかね?」

 痺れを切らすように部長が私に言う。
 うう……私としたことが。

 たかだか新人に挨拶の一言をかけるという単純な行為に……ここまでペースを乱されるとは。
 
 さすが、池田くんは期待の新人と呼ばれるだけのことがあるよっ……!
 この期待の新人クンに、私の威厳というものを印象付ける為には、やはり最初が肝心……っていきなり声を裏返してしまってはいるが。

 さっきのアレはノーカウントで、次こそが最初の一言だ……!
 新人に向けてのありがたい一言をビシっと決めて、さっきの失態を取り返す!
 さあ、行くぞ!!

「きょ、今日からバリバリ働いてもらうんだからねっ!!」

――威厳のあるというよりも、ツンデレみたいな言葉遣いになった。軽く死にたい。