背後から感じる空気が、『課長、何をしているんだ?』という質のものに変わっているのを感じる。

 池田くんに見とれてしまっていた時間、自分ではほんの短い間のつもりだったんだけど……私の記憶が確かならば、時計はすでに私が知覚していた時点より五分ほど経過してしまっているようだ。

――楽しい時間というのは早く過ぎるって本当ですねー。

 なんて、のんびりと構えている場合ではない。
 いつの間にか、両隣の一課と三課はそれぞれに平常通りに仕事を開始してしまっている。
 そんなオフィスの中でウチの課の朝礼の列は『ざわ……ざわ……』と微妙に不穏な空気を醸し出してしまっている。

――ここは一発、ビシっと決めてイメージ回復を図らないと!