どこまでも、サヤのメロディーは途切れることなく流れている。 寂しさを消そうとでもいうように。 そんなサヤの家の前で、足を止めた少年がいた。 「……?」 少年はスッと目を細め、耳を澄ます。 彼の瞳が一瞬闇色から青紫色へ変わったのに気付いたのは、塀の上に丸まっていた黒猫だけだった。 少年が去ると、黒猫は動きだした。 首輪の鈴が、しゃらんと鳴った。