その日も、いつもと同じように、サヤの家からは哀しいピアノの音が流れていた。

空は真っ青で、しんと透き通っている。だけどサヤは、それを眺めることも出来ない。

サヤの部屋の窓は、カーテンが閉めきられていて、開けようとすれば世話係のおばあさんが魔法のように現れ、サヤに罰を与えるのだ。

罰は色々で、ご飯抜きなんて軽い罰の時もあったし、身動き出来ないようにベッドに縄で縛りつけられたこともあった。


いつからか、サヤは外を見ることを諦めた。

幼い頃見た空の色は、もう記憶から消えていた。