寂しかった。

だだっ広い部屋。
ただ、広いだけの部屋。
そこに一人、サヤはいた。


出入りするのは、サヤの世話をさせるために仕事で忙しい母が雇った、いつも不機嫌そうなおばあさんだけ。

ただ、寂しかった。

心から欲しいと思うのは、『友だち』、それだけ……。


消えそうな程の静けさに、言い様のない孤独に負けそうで。


だからサヤは、ピアノを弾く。

哀しいメロディーを……独りで。