『くしゅん』
夜遅く、しかも薄着で外に出てしまったのでどうやら体が冷えてしまったらしい。
もう季節は秋。
夏目女学院はエスカレーター制なので、受験はないのだが、もうすぐ中学校生活もおわりかと思うと少し寂しくなる。
と…私は寿継の家のお風呂に入りながら考えていた。
あの後、寿継の部屋に通されたのだか、『寒くないか?寒いんなら風呂入るか?』と部屋に入った直後に聞かれた。
家にあげてもらい、しかもお風呂にまで入れてもらうなんて、さすがにそこまで迷惑をかける事は出来なかった。
ので、断ろうと思ったが…
体が冷えて、肌寒かったのもあり私は寿継の言葉に甘える事にした。
『…お、お言葉に甘えます。』
『おぅ…。』
『寿継はどうするの?』と私は聞いた。
『あー。俺は漫画でも読んでるよ。』と寿継は目を漫画へと移した。
『良かったら、一緒に入る?』
そう言うと、寿継は『えっ!?』と顔を真っ赤にしながら、再び私を見た。
『よく、お姉様と一緒に入っているし、タオルを巻けば大丈夫よね?』
『はぁっ!?何いってんのお前。』
(…それは女同士のだからだろう。)
『た、だって…寿継だって体が冷えてんじゃないの?』
『…後で入るからいい。から、早く入って来いよ。』と寿継は顔を真っ赤にしながら言う。
寿継のその態度に多少の不満を持った私は『一緒に入った方が楽しいに』とぼそっと呟いた。
『…っ!!い、いいからとっとと風呂に行って来いよ!』と私は半ば寿継に追いやられる形でお風呂へと向かった。

