『…ゆ、ゆのは?』
寿継なマヌケな声が聞こえる。
だが、私はあえて寿継を無視した。
私は腹をおさえている不良と手で顔をおさえている不良の前に立ち、『消えろ。』と低い声で囁いた。
一人の不良が『るせー!生意気なんだよ!この糞ガキ!』と言って、私に小石を投げてきた。
『ゆのは!』
寿継が心配そうな顔をして、私に駆け寄ってきた。
不良が投げた小石が唇の端に当たった為、唇が切れて少し血が出てしまっている。
私はそれを手で拭うと、『平気。別に心配するような事じゃねーから。』と寿継に冷ややかに告げた。
寿継はあまりの私の変わりように、戸惑っていた。
『ねえ。』と私は不良達を読んだ。
そして、先程不良が落とした棒を拾い上げ、私はそれを不良達の前で、思いっきりばきって真っ二つに割った。
あまりの事に、不良達も寿継も顔がひきつっていた。
『早くここから、立ち去らねーと、テメーらもこの棒と同じようにすんぞ!』
私がそう言うと、不良達を顔を真っ青に染め、足早に公園から立ち去った。
『ふっ。雑魚共が。ゆのは様に勝てるとでも思ってんのかよ。』
『…ゆのは。』
『何…?』
機嫌悪い返事をすると、寿継はひっと顔をひきつらせた。
『お前、いつからそんなガラ悪くなったんだよ?』と寿継は聞いてきた。
『別に。聞きたいの?』
『あぁ。』
ほんの少しの間はあったが、寿継は頷いた。
『ゆのは、おれん家来いよ。今日、家に誰もいねーんだよ。それにさっきみたいな不良がいつ襲ってくるのか分からねーだろ?』と寿継は言った。
『…!いいの!?』と私は嬉しそうに言った。
『あぁ。』
『ありがと。今金ねーから行く場所なかったんだよ!』と私は嬉しさのあまり寿継に抱き付いた。
『わぁっ!』
『…ありがと。』と私は寿継に聞こえないように小さく呟いた。

