『黙れ!この人間のくず!』

そう言うと、糞親父は顔を真っ赤にしながら、『ゆのは!』と叫び、私の頬を張った。

『乱暴な言葉を使うのは止めない!』

『うざいんだよ!私の事なんて思ってなんかないくせに。』

『ゆのは様。』

広田さんが私の肩を掴んだ。

広田さんも私の突然の豹変に驚いていたが、私を止めなければと思ったのだろう。

現に、私の肩を掴む手にはかなり力が入っている。

『触んな!』

私は広田さんの手を払った。

『おい、糞親父。高井先生をクビにしたら許さねーからな!』

と、私は糞親父の胸ぐらを掴んだ言った。

『ゆのは、落ち着きなさい!何故、そこまでして高井を庇うんだ?』

私は糞親父の胸ぐらを離して、『高井先生は私の親みたいな人だからだよ。2回も同じ事言わせんなよ。』と言い放った。

『ゆのは様。その言葉遣いは止めて下さい。この方は貴女のお父上なのですよ。』と広田さんは言った。

『だから?』

『え…?』と広田さんは困った表情をしていた。

『父親だからって、何で私がこいつの横暴に従わないといけないんだよ?』

『それは…』

『大体、仕事で家に帰ってもこない奴が私の事なんて分かる訳ないじゃんか?』

『ゆのは。私はお前の父親だ。仕事で帰って来られないのは申し訳ないと思っている。』と糞親父は真面目な口調でそう言った。

『…ざけんな。今更父親ぶる気かよ?今まで、私がどんな気持ちかも知りもしないで勝手な事ばっかり言うなよ!』と気がついたら、私は泣いていた。

『ゆのは…』

『嫌いだ!高井先生の事悪く言うし、勝手に決め付けるし、ざけんな!馬鹿親父!私はテメーの人形じゃないんだよ!』

そう言うと、私はドアに向かって走り出した。

『ゆのは様、お待ち下さい!』

広田さんの声がする。
けど、私は構わずに父の部屋から出ていった


『ゆのは様!』

広田はゆのはを追いかけようとした。

たが、『放っておけ』と健三郎は言った。

『しかし、あのようなゆのは様は見た事がありません。放っておくのは危険です。』と広田は健三郎に訴える。
『全くだ…。あのような下品な言葉をどこで覚えてきたんだ?あの馬鹿娘め…』と健三郎は溜め息を吐きながら言った。


ゆのは、私はお前にあんな悲しい思いをさせていたのか…。

『恵実理がいなくて良かった。あいつがいたら、もっと悲惨な状態になっていただろう…』と健三郎は呟いた。