心を全部奪って

「あーーー。倒れちゃったーーー」


うそだー。


残念過ぎるー。


まさか負けちゃうなんて。


「よっしゃー。俺の勝ち。

さーて、罰ゲームは何にしようかな~」


嬉しそうにはしゃぐ霧島さん。


今さら罰ゲームなんて。


奴隷なんだから、いつだってあなたの言う事を聞いてるじゃない。


あーあ。


勝ちたかったなあ。


「何でも言うこと聞けよ?」


「そんなの、内容によりますよ。

常識の範囲内でお願いしますよ?」


海に飛び込めとか、大量のロールパンを一気に食べろとか。


そういうのはさすがに無理だからね?


「ダメだ。

何でも言うこと聞け」


「えー。

だから、何かによりますよ。

とりあえず、言ってみてください」


「じゃあ、言う…」


私の正面で、急に真顔になる霧島さん。


思わず、ゴクリと喉を鳴らした。


一体、何を言われるの…?



「朝倉…」



「はい?」







「キスして」