心を全部奪って

「おぉっ。お前、なかなかやるじゃねーか」


「でも、今のはちょっと危なかった」


「じゃあ次は俺だなー。

そーっと、そーっと」


そう言って器用に、周りから砂を取る霧島さん。


「どうだー。かなり取ったぞ。

俺って天才?」


「えー、もう残り少ない。

どうしよう」


「次で倒れるかもなー」


そーっと二本指で、少しだけ砂を取ってみる。


「おまっ、ずるっ!

たったそれだけってアリなのか?」


「いいじゃない。

ちゃんと砂は取ったもの」


「卑怯だろーが」


ムキになる霧島さんがなんだかおかしくて、思わずクスクス笑ってしまう。


霧島さんってもしかして、負けず嫌いなのかな?