心を全部奪って

バタバタと階段を駆け下りていたら、当然だけどすぐに追い付く拓海君。


「捕まえたっ」


後ろからガシッと肩を掴まれて、クスクスと笑った。


「俺から逃げられると思うなよ?」


「さぁ、それはどうかな~?」


「おー?ひまりも言うようになったなあ」


拓海君の脅しには、もう屈しないもんねー。


「そうかぁ。

可愛いひまりちゃんに逃げられたらいけないし、もうちょっと散歩するか」


にっこり笑う拓海君に、私はうんと頷いた。


「でも、帰ったらするから」


「も、もう…」


すぐそういうドキドキさせることを言うんだから。


これにはまだまだ慣れそうにないかも…。


神社の階段を下りると、私達はまた川沿いを手を繋いでゆっくり歩き始めた。


「マジで今日はすげー良い天気だなー」


「そうだねー。

こんな日に家にいたら、もったいないよね」


「ん~?

なんか俺っぽい事言うね」


そう言って拓海君がフッと笑う。


「ほんとだ。

私、拓海君に似て来ちゃったのかな?」


出不精だった私がこんなことを思う日が来るなんて…。


なんだか嘘みたいだ。