心を全部奪って

神社に到着すると、そこはまるで別世界のように静かだった。


大都会の中にこんな場所があるなんて、なんだか不思議な気分だ。


拓海君は手順通りに丁寧に手を洗い、きちんとした態度で参拝していた。


そんな彼を見ながら、私も心を込めて参拝した。


一見こういうことは適当にやりそうな感じなのに。


かえって真面目にやるところも、彼の魅力かもしれない。


「あっ、見ろよこれ」


拓海君が指差したのは、奉納所にかけられた沢山の絵馬。


「うわー、すっごいびっしり。

色んな願い事が書かれてるね」


合格祈願に健康祈願。


所狭しと絵馬がかけられている。


「せっかくだし、俺らも何か書こう」


「うん、いいよ」


私達は絵馬を購入し、それぞれ願い事を書いて奉納所にかけた。