心を全部奪って

従うとは言ったけど。


奴隷だなんて。


一体、何をさせられるんだろう。


霧島という人がわからない。


昼間見たあの人当たりの良い彼と、今目の前にいる人が同じ人物だなんて。


本当に信じられない……。


「じゃあ早速、


楽しませてもらおうかな」


そう言ってニヤリ笑った後、


霧島さんは私の唇に自分の唇を強く押し当てた。


彼の表情と同様に、冷たい唇。


どうにか逃げようと暴れてみるけど。


がっちり抑えられた腕と挟まれた足で、


身動きなんて取れない。


深く押し当てられた唇から、ヌルリと熱い舌が私の口内に伸びてくる。


無理矢理絡められる舌は、激しい動きで私の中をかき回していく。



「ん……ふっ…」



苦しい。



ピッタリ塞がれた唇で、息が出来ない。



いや。



工藤さん以外の人と、キスなんてしたくない。



でも、



私には拒む権利もない。



工藤さん。



工藤さん……っ!