心を全部奪って

目の前が急激に真っ暗になった。


朝倉が、親元に帰る…?


嘘だろ?


どうしてそんな……。


「なんか今回の件で、ひどく疲れたみたいで。

地元に帰って、じっくり自分を見つめ直してみるって言ってました」


「なんだよ?それ。

それで、いつ引っ越すって?」


「それは聞いてないですけど。

こっちにいればいるほど家賃がかかりますしね。

早い段階で引っ越すんじゃないかな?」


「そんな…」


まずい…。


もしかしたらもう既に、アパートを引き払っているかもしれない。


ガタンと席を立った俺を、佐伯さんがビックリした目で見ている。


行かないと。


今すぐに行かないと…。


もう


二度と会えなくなる……!


「俺、朝倉のアパートに行って来る!」


「え?」


まだ全部食べていなかったけど、


俺はトレーを食器返却口に返した。


早く…。


早く行かなきゃ。


慌てて食堂を出ようとしたその時。


誰かにグイッと腕を掴まれた。