心を全部奪って

「あんた、スキだらけなんだよ。

だから今、こんなことになってるし。

不倫してるって、俺に気づかれるんだ」


私の両足は完全に霧島さんの両膝に挟まれて。


身動きなんて取れない状況になっていた。



「俺が前に所属してた

営業第二部第二チームの課長。

名前くらいは知ってるだろう?」



それは、


確か栗原課長……。



「栗原課長と工藤課長は同期なんだ。

同期のなかでも、二人は特に仲が良いらしい。

だから栗原課長から、

よく工藤課長の話が出ていたんだ。

別にこっちは聞きもしてないのにさ。

出身大学やら、奥さんのこと。


住んでいる家のこともね…」