心を全部奪って

「ひまりちゃん、これからどうするの?」


「ん?」


「新しい仕事、見つかりそう?」


仕事、か…。


「実はそのことなんだけどね…。

私、両親の家に帰ることにしたの…」


「えぇっ。ひまりちゃん地元に帰るの?」


「うん…。

なんか、ね。

今回のことで、ちょっと疲れちゃったの。

学生の頃から、東京の暮らしがなんだか自分に合ってないなあとは感じてたんだ。

自分が悪いんだけど、今回の事でやっぱりひどく傷ついちゃって…。

良い機会だし、地元に帰ってじっくり自分を見つめ直してみようと思うの」


「ひまりちゃん…」


父親から離れたくて出て来た東京。


お父さんに抱いていた複雑な思いは、今回の帰省ですっかり晴れたし。


もう私が東京にいる意味はないよね…。


「ひまりちゃんが東京からいなくなるなんて…。

寂しくなるよ…」


泣きそうな顔の美帆ちゃんを見ながら、流れそうになる涙を必死にこらえる私だった。