心を全部奪って

そうだったんだ…。


お父さんは、そんなふうに思って私のことを…。


「確かにそうかもしれない。

お父さんがもしいなかったら私、とんでもないワガママな大人になっていたかも?」


お父さんがいなければ、私は欲しいものをいくらでも祖父母にねだっていたかもしれない。


きっと、何も我慢出来ない子になっていたに違いない。


「お父さんの厳しさは、

私のためを思ってのことだったのね」


全然わかっていなかった。


父の表面だけを見て、その奥にある優しさに全然気づいてなかったんだ。


厳しさの中の優しさ…?


「あ…」


「ん?どうした?」


「……ううん、なんでもない」


今、ふと…。


霧島君の顔が思い浮かんだ。


初めて会った時の彼は、すごく怖かったけど。


でも本当は、必死に不倫を辞めさせようとしてくれていた。


私のためを思って…。


あえて言いにくいことを、ハッキリ言ってくれてたんだ…。