心を全部奪って

「クソッ!」


男子トイレの手洗い場。


鏡に映った自分の顔を見ながら、俺はダンッと鏡を叩いた。


『僕も理不尽だとは思ったけどね。

しょうがないよ。

上の決定だから。

朝倉さんの代わりに来た原田さんは、派遣社員さんだから。

仕事の出来る人を人事部長が手配してくださったから、仕事には支障ないと思う。

仲良くしてやってくれよ』


思わずチッと舌打ちをした。


誰が仲良くしてやってくれ、だ。


あそこは、アイツの席だったんだ。


ちょっと横を見れば、いつでもアイツの姿が見られて。


ちょっと手を伸ばせば、すぐに届くほどの距離にいたのに。


どうしてこんなことになった?


一体誰だよ?


あんなメールを一斉送信したヤツ。


それより何より。


朝倉は退職させられたのに、


どうしてあの男は、


何事もなかったように


涼しい顔で仕事をしてるんだよ!


許せない…。


そんなの絶対許せない!