心を全部奪って

「おはようございまーす」


「おはよう、霧島君。

今日も元気ね。

研修はどうだった?」


俺の顔を見ながら、亜由美さんがにっこり笑う。


「はい。楽しかったですよ」


「それはよかったわね」


「これ、お土産っす。

みんなで分けてください」


「まぁ、気が利くわね。

ありがとう」


亜由美さんにさっと左手を上げて、俺は自分の席に向かった。


もう、アイツは出社しているみたいだ。


あぁ…。


なんだかドキドキする。


椅子を引いて、自分の席に腰掛ける。


彼女はと言うと、頭を下げて何やら書類に目を通していた。


「おはよ」


そっと声をかけた。


すると彼女は顔を起こして、俺の方を向いた。


その顔に、俺はぎょっと目を見開いた。