心を全部奪って

翌朝。


私は巨大なビルのエレベーターの中に、


多くのサラリーマンやOLさん達と定員オーバーギリギリで乗り込んでいた。


なんだか今日は身体がだるい。


昨日霧島君に言われたことが、頭から離れなくて。


あんまり寝付けなかったからだ。


今日から金曜日まで、霧島君はメーカー研修で社内にいない。


ホッとするような、だけどちょっぴり寂しいような。


なんだか複雑な気分だった。


トイレに入り髪を直して、自分の事務所に向かう。


そうしたら目の前に、美帆ちゃんの姿が見えた。


さすが、美帆ちゃん。


私も早めの出勤だけど、さらにもっと早いのね。


「おはよう、美帆ちゃん」


ぽんと肩を叩いて、明るく声をかけた。


「…………っ」


美帆ちゃんは私を振り返ると、ぎょっとしたような顔をして、足早に経理部の方へと行ってしまった。


え…?


今の何…?


私、挨拶したよね?


それなのに美帆ちゃん。


笑顔もなければ、挨拶すらしてくれなかった。


どうして…?